最終更新日 2024年12月29日 by byersp
甘いものを食べ過ぎたり、歯磨きを怠ると歯に痛みが生じます。
それがう蝕、一般的には虫歯と呼ばれるものです。
では、なぜそのようなことになってしまうのかというと、口腔内に生息しているミュータンス菌や虫歯菌と呼ばれる細菌のせいです。
神澤光朗さんの持論
神澤 光朗の見解では、食事をした後には、歯の隙間や歯と歯茎の間に食べかすが残ります。
するとミュータンス菌はその食べかすに含まれる糖質を餌にして増殖します。
その増殖した細菌の塊がプラークです。
増殖をする過程で、ミュータンス菌はグルカンというとても粘り気のある物質を作り出すので、プラークは接着剤がついているかのように歯と密着します。
分解して乳酸を作り出します。
プラークという塊になったあともミュータンス菌は糖質を取り込むのですが、そのときにグルカンだけでなく乳酸もつくりだします。
歯の表面を守っているエナメル質は、ミュータンス菌が作り出した乳酸のために溶け出していきます。
歯のエナメル質が溶け出すことを脱灰といいます。
もともと、日常で人が食事をするときにも口腔内は酸性に傾き、脱灰が行われているのですがその際にはアルカリ性の唾液によって中和され、唾液に含まれるカルシウムイオンとリン酸イオンを取り込んでエナメル質の修復（再石灰化）が行われます。
ですから歯はいつでもきれいな状態を持ています。
エナメル質を失って大きな穴ができると・・・
ところが乳酸が多く含まれているプラークが歯にこびりついている状態では、脱灰をしつづけるので再石灰化がおこなわれません。
そうしてエナメル質を失って大きな穴ができると、その下にある象牙質すらも破壊されていきます。
最終的には歯の中心にある神経や血管の集まりである歯髄にまで細菌の侵食が及びます。
神経が攻撃されている状態ですから、激しい痛みがでてきて炎症がおきます。
それが歯だけでなく周囲の部分にまで広がると、頬や顎が大きく腫れ上がります。
ひどい虫歯で顔を腫らす人がいますが、それはこのためです。
歯に穴があいても再石灰化ができるならば、自然に元に戻るのではないかという疑問がでてくるでしょう。
たしかに初期の段階であれば、修復はできるのですが象牙質や歯髄にまで穴が広がってしまうと、もう元には戻りません。
穴が広がっているのに放置をすれば、どうなるのかというと歯の大半が溶け出して、根っこの部分が残るくらいになります。
もはや噛む力は失われてしまうので、抜く以外の選択肢がなくなります。
ミュータンス菌は脳梗塞や心筋梗塞の引き金となることがある
そこまでひどい状態にするべきではないことは確かですが、歯を失うくらいであればそこまで深刻にならなくてもいいと思う人もいるでしょう。
しかし、それは大きな誤りで、ミュータンス菌は歯だけでなく血液に入り込み脳や心臓に移動すれば、脳梗塞や心筋梗塞の引き金となることがあります。
まだ医療技術が未熟であった時代には、そのせいで亡くなった人もいます。
たとえ命を奪う病気になっていなくても、歯を失えば食事を満足に取れなくなります。
そのせいで栄養不足によって病気になれば、間接的に虫歯が原因で命を失ったと言えます。
それに噛むということは、唾液の分泌を促すので口腔内の病気を予防することになりますし、脳に刺激を与える行動なので認知症の予防をするためには必要なことです。
それができなくなれば、様々な病気を発症しやすくなり、健康が損なわれる可能性が高くなります。
ならば、どうするべきかというと虫歯は一刻も早く治療をしてしまうべきです。
治療法としては、ドリルで患部を削り、そこに詰め物をするというのが基本的なやり方です。
穴が歯髄まで進行している場合の治療
ただ完璧な治療法ではありません。
というのも患部を削れば、そこでおおよそのミュータンス菌を取り除き進行を止めることができます。
ただ、その後も丁寧に歯磨きや定期検診を受けなければ、詰め物をしたところの隙間に食べかすが詰まり、そこでミュータンス菌が繁殖して再発する可能性があります。
そのため、結果的に歯を失うこともあるので注意しなければいけません。
あと、穴が歯髄まで進行しているときには、歯の神経をとって菌が広がらないようにする治療も行われます。
神経とともに血管を取るので、歯に栄養を供給することができなくなります。
そのため、この治療法も歯の寿命を縮めることが懸念されます。
歯を削らない、神経をできるだけ取らない治療法として、多くの歯科医院で導入されているのがレーザー治療です。
レーザーを照射すると、その部分の水分が蒸発します。
この効果によりミュータンス菌が侵食した部分を分解します。
健康な部分への影響が心配になりますが、乳酸で溶け出した部分は健康なところよりも水分量が多いので反応しやすくなっているので、他の部分には無事です。
この方法であれば、ミュータンス菌だけを綺麗に退治して、残る部分が多いので痛みが少なく歯周病の原因菌も取り除けます。
まとめ
なお、レーザーでの治療ができるのは初期の段階です。
そこから更に進行したときで削らない治療をするというときには、虫歯になっている部分だけに反応する薬品を塗り取り除く治療法があります。
削る治療法と比べて、薬品を使った治療法も残せる部分が多くなるので歯の健康を維持しやすいです。
